農家の冬の副業として始まった凍り豆腐作り。そして、第二次創業期に画期的な「アンモニア膨軟加工法」の発明、その後の需要の増加に応えるために人手から機械化への変遷、そして近代化に向けた生産方式の転換。当社の強みとも言える「生産設備の自社開発」への思いは創業時に醸成されて、現在まで引き継がれています。
凍り豆腐作りにおいては古牧園、居町工場、若里工場へと創業期の変遷とともに自社技術による製造設備の独自開発を続け、これにより「凍り豆腐」は伝統産業ながら装置産業へと進化を続けてきました。生豆腐の製造、凍結、熟成、乾燥の各工程では天然製法の理論に基づきながら、工業的に通年生産を可能にするための独自の製造技術が蓄積されています。そして、この技術に基づいて製品を工業的に生産するための専用設備の開発が行われ、工場内の工程ごとに専用生産ラインとして設置されています。
油あげでは、汎用性のある油あげ製造設備に当社独自の仕様を付加してライン化しています。当社の油あげ生産には連続式の生地成形設備を導入しており、高品質、多品種、量産の全ての条件を実現するために、各工程を構成する個別の装置ごとに自社技術による改良を行ってきました。例えば、油あげサイズの自動切換え装置、寿司あげ用自動エア注入装置などは合理化と省力化には特に優れた効果を発揮しています。
油あげの味付け加工設備においては、油あげに含まれる余剰の油分だけを取り除く技術を開発して装置内に組み込んでいます。この技術はいなり寿司をよりおいしく食べていただくための当社独自の加工方法です。また、これからの主力生産拠点となる北アルプス大町工場には、最新の油あげ・味付け加工の設備を開発、導入し、原料の丸大豆から、油あげ、味付け、殺菌、パックのピッキング・コンテナ搬送のロボット化、包装までの全工程が自動化・合理化されたラインを構築しています。
食品を製造する設備を導入するためには、製品の設計段階から製造方法と製造設備を同時に開発しなければなりません。現在、当社では専門スタッフとして機械と電気設計の専門技術者を擁し、設備の設計にもCAD等を導入していますので、開発から設備化までのリードタイムを短縮する事ができます。一方、製造設備は日常の保全と故障した際には修理が必要となりますが、社内に保全・修理部門を有しているため、設備が故障した場合でも短時間での復旧が可能な体制を整えています。
このように、当社では創業以来、柔軟な発想と技術の研鑽に取り組む事により独自の生産ラインを構築して、日常の保全により各製造設備の維持管理を行ってきました。これからも多様化する市場のニーズに対して、スピーディな対応ができるように、そして、世の中にない物は自社で開発して、安全で安心な商品を提供していきます。