創業当時の基礎技術となった「信州の厳しい冬の寒さを利用した凍り豆腐の天然製法」を礎に、凍結および乾燥技術を独自に開発して「凍り豆腐生産の近代化と工業化」を進めてきました。凍り豆腐の製造には生豆腐とは異なる独特の技術が存在し、その基本的な考え方は創業当時から現在に至るまで途切れることなく伝承されています。
「油あげ」は、昭和49年から参入した分野で、当時の油あげ作りはほとんどが職人による手作業であったのに対して、当社では生地作りの工程には合理的な考え方に基づいた生地の成形方式を採用しました。
「味付けいなりあげ」は、当時、各家庭で「いなり寿司」を作るために主婦が行っていた油あげの油抜きと味付け煮込みの作業を軽減し、より簡単に「おいしい いなり寿司」を作るための商品として誕生しました。このために専用の油あげと独自の油抜き味付け方式を開発し、調理殺菌は家庭での利便性を高めるためにレトルト加工方式を採用しました。この方式により常温での保存が可能となります。その後、業務用市場への参入に向けた商品開発も積極的に進めてきました。業務用においてはプロ向けとして品質や味だけでなく、ごはんを詰める際の開き具合や寿司ロボットへの機械適性、作業性等が重視され、ユーザ各社様ごとに個別の仕様と品質が求められます。調理殺菌はプロの味と新鮮さを求められるためにチルド加工方式を採用し、製造後は冷蔵保存と低温流通により品質を保っています。各店舗やベンダー様に届けられた後は、ご飯が詰められた「いなり寿司」となってお客様に提供されます。
一方、凍り豆腐や油あげの製造時には、副産物として生おからが産出されます。生おからはそのままでは水分量が多いため流通は難しいのですが、乾燥する事により保存性と利便性を確保する事ができます。当社では約半世紀に渡り乾燥方式の異なるおから乾燥機を導入して、乾燥方式によって「乾燥おから」の特性と品質に違いがある事を確認してきました。現在は乾燥後の品質が最良となる乾燥方式を採用して、用途に応じて粒度の異なる商品も用意しています。
当社の商品群はその全てが丸大豆を原料としていますので、私たちは大豆を加工して多様な商品を作り出すために必要となる固有技術や基礎技術を多数蓄積・保有し、新技術の開発にも積極的に取り組んでいます。研究機関との共同開発や大学との基礎研究の事例として「大豆ベータコングリシニン機能の科学的根拠」があり、新しい機能の研究や用途開発、関連情報の提供なども行っています。また、技術基盤となる理化学分析などによる原料や商品の評価・解析を行い、新しいアプローチによる商品開発や管理方法への取り組みも進めています。